その日は、ローラーコースター他、息子が乗るのを楽しみにしていた四つの乗り物が運休ということで、ちょっと残念そうでしたが、それでも午前中はいろいろな乗り物に乗って過ごしました。
どちらもガラガラに空いていてすぐ乗れそうなのに、です。
(私は子供のころ、兄は乗れたのに身長制限で自分だけ乗り物に乗れなくて大泣きしたことがあります。)
というのも、私はこの20数年間、子供達とジェットコースターなど、高くて速い乗り物に乗るのを、とても楽しみにしていたからです。
夫と付き合い始めるまでの私は、ジェットコースター大好きで、どこかの遊園地に新しい乗り物ができたと聞いたら早速乗りに行くようなタイプでした。
夫は高いところが苦手、ジェットコースターはもちろん観覧車も乗れないとわかった時、私は、将来子供が生まれたら、その子供達と一緒に遊園地に行って、スリルいっぱいの乗り物を楽しもう、と決めたのです。
それから20数年たって、子供達も大きくなり、ようやくその機会が訪れたと思ったら、なんと息子も苦手だったとは!!
私は相当がっくりしながら、午前中平和な乗り物に息子と乗って過ごしました。
フリーパスでは入れず別料金なので、息子は「迷路はやれないよね」などと言っていましたが、それを聞いた私はいいことを思いつきました。
息子が立体迷路をやっている間に、私が一人で乗り物に乗ってくればいいのだと。
私はニコニコと昼ご飯を食べ、大喜びの息子を迷路に連れていき、お金を払い、迷路に乗り込んでいく勇ましい後姿を見送ると、さっそく一つ目ののりものに向かいました。
一つ乗り終わると、次の乗り物に乗りました。
その楽しかったこと!!
まさに、大人の夏休みを感じた瞬間でした。
このような迷路ではいつも姉の後をついていくだけだった息子にとって、自分の力でクリアできたことはとてもうれしかったようでした。
息子が迷路をやっている間に乗る、という選択肢は、完全にスコトーマ(心理的な盲点)でした。
これを思いつかなければ、なんとなくイライラしながら家路についたと思います。
20数年も前から、将来遊園地の楽しい乗り物に子どもと乗る、と強烈に決めていたことで、子どもと一緒に遊園地に行き、かつ一人で乗るという選択肢は見えていなかったのでした。
正確に言うと一度、ママだけ乗ってきていい?と息子に聞いたのですが、一人で他の乗り物に乗るのも、待っているのも嫌だという答えだったので、そこであきらめていました。
立体迷路を一人でクリアした息子も、乗りたかった乗り物に乗れた私も、大満足で花やしきを後にすることができました。
やりたいことはあきらめず、やると決めていれば、方法は脳が導き出してくれるものだと、この日もまた実感したのでした。

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